障害年金の認定日請求。審査会の判断は妥当?④
2024年7月26日
みなさん、こんにちは。
今日は7月13日にアップしたブログの続きについてお話したいと思います。
さて、この裁判ではB氏の認定日当時の障害状態が障害手当金に相当する程度、すなわち「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」に該当するかどうかが争われたわけですが、実はこの裁判でC大学病院の主治医の医師意見書が提出されており、その意見書では「両眼による視野が2分の1以上欠損したものに該当する」と断言されています。
また主治医を含むC大学病院の医師総勢18名が同様の意見書を提出しました。
また、被告(国)は「「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」に該当するか否かは、本件認定要領における「測定した視野の面積が生理的限界の面積の2分の1以上欠損しているもの」という客観的な基準に依拠しつつ、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものといえるか否かという観点から、医学的知見を踏まえて総合的な判断が行われる」といった旨を主張しましたが、これに対し裁判官は「障害認定基準においては、視野障害については、客観的な基準を充足することで足りるものであり、これに加えて、「医学的知見を踏まえて総合的な判断が行われる」などという要件等は、障害認定基準には一切記載されておらず、被告の主張は、障害認定基準に定められていない要件を付加して判断するものであり、明らかに障害認定基準に反し、違法である」と述べています。
今回当事務所で棄却とされた男性のケースでも「網膜色素変性症のような求心性視野狭窄は視野が1/2以上の欠損をしていても3級に該当しない」という保険者の意見でしたが、障害認定基準の文言に沿って認定が行われなければならないところを歪んだ解釈で認定基準をねじ曲げるというのは断じて許せることではありません。
再審査請求でも覆らず審査官と同様の判断がなされたことは甚だ疑問が残る結果となりました。
一方、この原告・B氏の裁判ですが、結果は被告(国)が障害認定日における障害給付を支給しないといった処分は違法であるとし、B氏の完全勝訴となりました。
さて、今回当事務所で棄却とされた男性も3級14号で再審査請求まで争ったわけですが、昨今この3級14号が不支給や支給停止となる案件が非常に多くなっており、その理由は明らかではありませんが、傷病に関わらず3級14号を十把一絡げとしているのではないかと勘繰ってしまうほどです。
今後保険者の動向には注視していく必要がありそうです。
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