額改定請求書を付けないと不服申し立てができない?②
2021年8月13日
みなさん、こんにちは。
前回、腎細胞ガンで障害年金を申請したケース(40代・女性)で、額改定請求書を付ける意味について解説しましたね。
今日は前回のお話の続きです。
さて、認知日当時を不支給とされたため、額改定請求書を付けた意味がなくなってしまったわけですが、この額改定請求について日本年金機構から次のような通知が届きました。
請求人に届いたその通知には、額改定しないという旨の内容が書かれており、理由は「裁定請求日から起算して1年を経過していないため」ということでした。
これはいったいどういうことでしょうか。
それはつまり、私たちは認定日に対して額改定請求を付けたわけですが、その認定日当時が不支給ということで受給権がその時点で発生しませんでしたので、要はその額改定請求書が宙に浮いてしまった形となったわけです。
そのため機構はそれを現症の診断書に対して付けられたものと仮定して上記のような決定を送ってきたと解釈できます。
どうにも無理やり感が否めませんね。
だったら、この額改定請求書は処理不要となったとして返戻するかそのような内容の通知を送ればいいと思いますが・・・。
どちらにしても要領を得ない決定通知です。
その後「現症は3級、認定日は不支給」という機構の決定に対して「現症は2級、認定日は3級」とするよう審査請求を行いました。
審査請求では覆りませんでしたが、再審査請求で「認定日は3級」と認められました。
現症に対する不服申し立てについては、その際審査会より送られてきた決定書に「認定日を3級と認定したため事後重症請求は予備的請求であるため現症については審査に及ばない」といった内容が書かれていました。
しかし、こういったことを防ぐための額改定請求のはずです。
理屈では再審査請求で認定日当時は3級であったと認められたわけですから、新規裁定時に付けた額改定請求が復活し、現症に対しても不服申し立てができるようになるのが筋だと考えられます。
このことを機構に問い合わせたところ、請求人に対して改めて額改定請求についての決定通知を送り直すとの回答を得ることができました。
その後、日本年金機構より請求人に改めて不改定(従前の障害等級と変わらないため年金額を改定しない)通知が届きました。
当然これに対して審査請求することができますが、請求人にこのことについて意思確認をしたところ、これ以上の争いは望まないとのことであったため、「現症・3級、認定日・3級」という結果で幕を閉じました。
このように認定日請求をする際、不服申し立てができるようにするため額改定請求を付けておくといったことは実は行政の窓口でほとんど案内されることはありません。
そのため、新規裁定の決定が下りた後不服申し立てをしたくてもできないケースが発生しており、しばしばトラブルになることもあるのです。
もし認定日請求をする際、今回のようなケース(認定日より現症の方が程度が重いと考えられる時)に該当すると考えられる場合は審査請求で争えるように額改定請求書を付けておくといいでしょう。
それでは今日はこの辺で。
▼関連記事▼