額改定請求書をつけないと不服申し立てができない?①
2021年7月30日
みなさん、こんにちは。
以前腎細胞ガンで障害年金を申請したケース(40代・女性)についてお話しましたね。
この女性は新規裁定においては「現症は3級、障害認定日は不支給」という決定でしたが、再審査請求において原処分の取り消しが行われ「現症は3級、障害認定日は3級」となりました。
本来こちらの審査請求の趣旨は「現症は2級、障害認定日は3級」でしたが、障害認定日当時3級であったことは認められたものの、現症の不服申し立てについては審査に及ばないという決定となりました。
ではなぜ現症に対する審査請求は認められなかったのでしょうか?
今回のケースのように認定日請求をする際、例えば認定日当時の診断書は3級相当で、現症診断書が3級とも2級とも取れるような場合には「額改定請求書」を付けておく必要があります(本来この額改定請求書は、年金受給者が症状悪化により等級を上げるために提出する用紙)。
本来認定日請求というのは、認定日当時の等級のみを決定するということになっており(請求事由確認書を添付することにより事後重症請求を予備的請求として審査することを求めることはできる)、現症の診断書はあくまで「確認」されているだけで等級を決定しているわけではありません。
つまり、認定日請求が等級該当として認められた場合は、現症の診断書は審査すらしないということですね。
そのため法律上、審査及び決定がなされていない等級に対して不服申し立てすることはできません。
今回のケースでは認定日当時より現症の方が障害の程度が重いと考えられたため、仮に「現症3級、認定日3級」という決定がなされた時に現症3級に対して審査請求ができるように、認定日の診断書に対して額改定請求を行いました(決定が最初から「現症2級、認定日3級」であれば額改定請求が活かされたということ)。
少し難解ではありますが、額改定請求書を付けることによって、現症の等級に対して決定を行わせることができ、結果その決定に対して不服があれば審査請求できるというわけですね。
しかしながら、今回請求したケースでは、「現症は3級、障害認定日は不支給」という決定がなされました。
額改定請求というのは認定日の等級が決定され受給権を得た上で現症に対して不服申し立てを行うためのものであるため、認定日当時を不支給とされてしまうと、そもそもその時点で額改定請求書の効力はなくなります。
このような場合、額改定請求書は処理不要として返戻すればいいと思うわけですが、日本年金機構から請求人に届いた通知は何とも不可解なものでした。
それでは次回へ続きます。
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