令和4年1月1日より眼の障害年金認定基準が改正!徹底解説その④
2022年3月3日
みなさん、こんにちは。
1月から令和4年1月1日より新しく施行された眼の障害年金認定基準の詳細について順次アップしています。
今日は第4回目。
前回より視野障害に関する改正について解説しています。
▼合わせて読みたい▼
・令和4年1月1日より眼の障害年金認定基準が改正!徹底解説その①
・令和4年1月1日より眼の障害年金認定基準が改正!徹底解説その②
・令和4年1月1日より眼の障害年金認定基準が改正!徹底解説その③
今日は求心性視野狭窄や輪状暗点といった症状による限定が原則撤廃された改正についてお話します。
求心性視野狭窄とは外側から中心部分へ向かって視野が狭くなっていくタイプの視野障害で、輪状暗点とはドーナツ状に視野が欠けていくタイプの視野障害のことを言います。
まず「視野に係る障害認定基準早見表①」と「視野に係る障害認定基準早見表②」をご覧ください。
※早見表は独自作成によるものなので使用の際は参考程度に。日本年金機構HPからより詳細な認定基準をご覧頂けます。
①と②共通して、左側の太枠が障害年金における認定基準、さらにその太枠内左側が旧基準、右側が新基準となっています。
早見表①にある旧基準の2級欄①をご覧頂きたいのですが、こちらに「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて」といった文言がありますね。
この文言は新基準の方ではなくなっていることが分かりますね。
実はこの文言による弊害が旧認定要領に存在していた「中心暗点のみの場合は、原則視野障害として認定は行わない」というものでした。
中心暗点とは、中心部を中心に視野欠損しているタイプの視野障害で、見え方としては最も見たい部分が見えず、視野障害の中では特に不自由とされるタイプの視野障害です。
旧基準においてはこの中心暗点は視野障害として取り扱わないこととなっていました。
視野障害では請求できないとなると、今度は視力障害の方で請求することになるのですが、実際視力検査をする際、患者が顔を斜めに向け中心部を外した状態で検査が行われることが多く、そうすると中心部分以外の周辺視野は見える部分が存在しているわけですから、「見えて」しまう結果、視力障害においても該当しないといった不合理な事態が発生していました。
そこで新基準では「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて」といった症状の限定は廃止し、中心暗点でも視野障害として認定されるよう配慮が行われたのです。
しかし、早見表①にある新基準の2級欄②をご覧頂きたいのですが、ここでは「求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについてI/2指標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの」といった文言がそのまま引き継がれる形となっています。
ここは本来であれば身体障害者手帳の認定基準に準拠させるため、そして症状の限定列挙は廃止するということからも削除されておかしくない部分だったのですが、この障害年金の独自基準によって一定数の受給者が存在するため、既得権益が損なわれないようここだけは旧基準の文言をそのまま引き継ぐ形となったのです。
ではなぜ症状の限定は廃止するとなったにも関わらず、同部分においては引き継がれたのでしょうか。
次回詳しく解説します。
今日はこの辺で。