精神障害の等級を決めるときの目安は?
2017年3月24日
みなさん、こんにちは。
今日は平成28年9月より施行された「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の中にある障害等級の目安についてお話しします。
障害年金の等級は障害基礎年金が1級と2級、障害厚生年金は1級~3級までありますが、何を基準にこの等級が決定されるのでしょうか。
例えば眼の障害の場合は左右の視力を合わせて何級、肢体障害の場合は関節可動域(手足がどの程度屈伸するか)や日常生活における動作(歩く、座る等を〇△✖で判定)を等級判定の目安にするように、精神障害においても等級を決定する際の目安が定められています。
精神障害の場合、以前までは具体的な判断基準がなく、「診断書や申立書などを勘案して総合的に判断する」といったスタンスでした。しかしそれでは曖昧な審査になりかねません。また他の障害と不公平が生じる可能性もあります。そのため、平成28年9月より精神障害においても明確な等級判定の目安が設けられました。
障害年金を請求する際、障害状態を示すための診断書を提出する必要がありますね。精神の診断書の場合、裏面に「2 日常生活能力の判定(食事や清掃、他人とのコミュニケーションの有無など)」と「3 日常生活能力の程度(総合的に見てどの程度の障害状態か)」を記入する欄があります。診断書・精神の障害用(見本)
これらの項目を次のような式を用いてマトリックス(障害等級の目安)に当てはめ、等級を算出していきます。
まずは上記リンクより診断書裏面「2 日常生活能力の判定」をご覧ください。(1)から(7)までの項目がありますね。
それぞれに以下のような4段階評価に分けられています。
・できる(1点)
・おおむねできるが時には助言や指導を必要とする(2点)
・助言や指導があればできる(3点)
・助言や指導をしてもできない若しくは行わない(4点)
一番左側の「できる」から順に1点、2点、3点、4点と点数が付けられています。この診断書見本では(1)から(7)まですべての項目において一番右側の項目にチェックが付されています。一番右側の「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」は最重度の4点になりますね。7項目ありますので、この4点に7を掛けます。合計で28点になりますね。この合計点を7で割ります。
すると最終的な点数は「4点」となります。
ここで上記障害等級目安のマトリックスをご覧ください。「2 日常生活能力の判定」はマトリックスの縦軸「判定平均」に対応しています。
先ほどの「4点」を当てはめてみると「判定平均」は「3.5以上」に該当しますね。
また診断書見本「3 日常生活能力の程度」は(4)にチェックが付されています。ここはマトリックスの横軸「程度」に対応しています。
「3.5以上」と「(4)」の交差する部分は「1級又は2級」となります。つまり、この診断書は「1級又は2級」相当であるということになります。
しかしながら審査される際は就労状況や同居人の有無、また別紙申立書等も評価基準の対象となるため必ずしも目安通りの等級になるとは限りません。最終的には認定医により目安として示された等級通りでいいのか、そうでないのかが判断されます。
もし仮に、目安とは異なる決定を下す場合は明確な理由を示さなければならないこととなっています。そのため不支給とされた場合これまでとは違い、理由が明示されることによりその後の審査請求が行いやすくなりました。
それでは今日はこの辺で。
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