1型糖尿病患者、障害年金訴訟で8人が棄却
2021年5月21日
1型糖尿病患者の障害基礎年金が障害状態が改善していないにもかかわらず突然打ち切られたことは不当であると国を相手取り提訴していた問題で、大阪地方裁判所は「症状が改善していたかどうかは問題ではない」といった理由で訴えを起こしていた9人のうち8人の訴えを退けました。
原告側は5年前、障害基礎年金が突然打ち切られたことで訴訟を起こし、一昨年9人全員の勝訴が確定していました。
国が控訴しなかったため原告らの障害年金は再開されるものと思われましたが、その後すぐに国は障害年金を支給停止とした理由を明示し、再度不支給通知を送りました。
国は「判決はあくまで理由が明示されなかったことの不備を指摘されたもの」として再度不支給決定をしたことに問題はないとしました。
以前こちらのブログでもお伝えしましたが、この不支給決定の背景には平成28年6月に「代謝疾患(糖尿病)による障害」の認定基準が一部改正されたことが大きく影響していると考えられます。
今月17日の判決で大阪地方裁判所は「あくまで審査の時点で障害状態に該当しなければ障害年金の打ち切りは許される」と指摘しました。
1型糖尿病は生活習慣等が原因で引き起こされる2型糖尿病とは異なり、多くの患者は未成年で発症します。
そのため障害等級も2級以上の該当が必要で、3級該当では給付を受けることができません。
認定基準を見ると、糖尿病で障害年金を請求する際は合併症が引き起こされている否かに重点を置いているようにみえます。
すなわち、インスリン治療である程度症状がコントロールされているのならば3級支給が精一杯で、それ以上の等級の場合は、さらにその先、つまり透析開始であるとか網膜症を発症して失明状態に陥るといった症状のステージがあがった時に認定しましょうと言っているように見受けられるのです。
てんかんもそうですが、投薬治療によって症状がある一定のコントロール下に置かれる場合は障害年金の受給そのものが難しいと言わざるを得ません。
しかしそうは言っても、根治する病気ではなく医療費の助成等もないため、障害年金に頼らざるを得ないのが患者たちの現状です。
障害年金の支給がなくなった今、働けない患者や高額な医療費を負担しなければならない患者にサポートが必要となっています。
引用元:NHK NEWS WEB
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