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1型糖尿病患者、障害年金の打ち切りなぜ

2019年10月3日 

1型糖尿病患者の障害年金が突然打ち切られ国を相手取り提訴した問題で、今年の4月大阪地裁は「理由を明示せずに打ち切ったのは違法」として国の支給停止処分を取り消しました。

 

 

国が控訴しなかったため訴えを起こした1型糖尿病患者に障害年金の支給が再開されるものと思われましたが、国は支給停止した理由を明示するとともに再度不支給通知を送りました。

国はこれについて「判決はあくまで通知書の理由の不備を指摘したもので再処分に問題はない」とコメントしています。

 

 

以前更新した際の診断書と症状の程度は変わらないにもかかわらず、なぜ突然支給停止されたのでしょうか。

 

 

国は「以前の診断書との比較はしない」と言及していますが、これは平成28年6月に「代謝疾患(糖尿病)による障害」の認定基準が一部改正されたことが大きく影響していると考えられます。

今回の引用元である記事で取り上げられている男性が支給停止されたのも3年前でちょうどこの改正が行われた時期と重なっています。

 

それでは、具体的にどのように認定基準が変更されたのかを改正前の認定基準と比較して見てみたいと思います。

 

 

 

 

改正前

(6)糖尿病については、次のものを認定する。

ア インスリンを使用してもなお血糖のコントロールの不良のものは、3級と認定する

イ 合併症の程度が、認定の対象となるもの

なお、血糖が治療、一般生活状態の規制等によりコントロールされている場合には、認定の対象とならない。

 

 

 

 

改正後

(5)糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なもので、次のいずれかに該当するものを3級と認定する。

ただし、検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていることについて、確認のできた者に限り、認定を行うものとする。

なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。

ア 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が0.3g/mL未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

イ 意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

ウ インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

 

 

 

 

どちらの認定基準もインスリン治療を行っても血糖のコントロールが困難なものを3級認定と明示していますが、改正後の認定基準の方はより具体的に数値の値や一般状態区分表のどこにチェックが入るか等について指定されていることが分かります。

 

おそらく今回支給を打ち切られた1型糖尿病患者の診断書もこの改正後の認定基準により認定が行われ、それに該当していなかったため支給停止処分になった(今回提訴した患者は障害基礎年金受給者のため2級までしかなく3級に該当すると支給停止となる)のだと考えられます。

 

 

では今回の国の対応は正しかったのでしょうか。

 

 

例えば別障害ではありますが、精神障害における障害年金の不支給決定割合が地域間でかなりのばらつきがあった問題で、国はこれを是正するため平成28年9月より「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を施行しましたが、このガイドラインが施行されたことによりそれまで認定率の良かった地域の受給者の障害年金が突然止まることのないよう3年の猶予期間を設けました。

 

 

すなわち3年間は同程度の診断書であってもただちに支給停止するわけではないと国は謳ったのです。

 

 

しかし、今回の1型糖尿病患者のケースでは事前に何のアナウンスもなく突然打ち切られたため受給者の間で混乱が起きたのです。

もちろん事前に認定基準改正の案内はありましたが、それだけで患者は等級不該当になると理解できたでしょうか。

 

 

今年7月、原告側は改めて障害年金の支給再開を求め提訴しました。注目の第1回公判は今月15日です。

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引用元:Yahoo!ニュース

 

 

 

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