視野が1/2の欠損は手帳が5級、障害年金は3級?
2017年6月2日
みなさん、こんにちは。
今日も前回に引き続き、視野障害の認定基準についてお話したいと思います。前回障害手当金における障害認定基準について触れましたね。障害等級認定基準の表中(5頁)においては以下のような文言となっています。
両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
後半部分の「両眼の視野が10度以内のもの」については前回解説しましたね。今日は前半部分の「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」について確認していきます。
この「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」が具体的にどのような状態を指すのかが7頁のオに書いてあります。文言は以下の通りです。
「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」とは、片眼ずつ測定し、それぞれの視野表を重ね合わせることで、測定した視野の面積が生理的限界の面積の2分の1以上欠損しているものをいう。
この場合、両眼の高度の不規則性視野狭窄又は半盲性視野欠損等は該当するが、それぞれの視野が2分の1以上欠損していても両眼での視野が2分の1以上の欠損とならない交叉性半盲等では該当しない場合もある。また、中心暗転のみの場合は、原則視野障害として認定は行わないが、状態を考慮し認定する。
それでは以下の診断書をご覧ください。
左側に4つの円(視野表)がありますね。これらは眼球を表しており、上2つがⅠ/4の視標で計測したもの、下2つがⅠ/2の視標で計測したものになります。認定基準にはありませんが、「2分の1以上の欠損」は上2つのⅠ/4の視標で判断されます。
左右Ⅰ/4の視標を重ね合わせ、見えていない面積(画像の視野表でいう黒車線の部分)が2分の1以上であると障害手当金に該当します。しかし、上記認定基準には「それぞれの視野が2分の1以上欠損していても、両眼での視野が2分の1以上の欠損にならないものは該当しない場合がある」とありますね。
これは左右それぞれの視標においては2分の1以上欠損してはいますが、重ね合わせたときに見えていない面積(画像の視野表でいう黒車線の部分)が2分の1以下であると障害手当金に該当しない場合があると言っています。片目ずつ見ればそれぞれの視野が半分以上欠損しているものの、両眼を開眼して見た状態では欠損部分が2分の1を越えない状態では該当しないこともあるということですが、この辺は少し曖昧な表現になっていますね。
また、中心暗転とは中心部分の視野が欠損している状態のことを指します。この場合は原則として視野障害では審査されませんが(原則、視力障害として認定)、状態を考慮し認定されるケースもあります。
このように2分の1以上の視野欠損は障害年金においては障害手当金(症状固定でないものについては3級)ですが、障害者手帳においては5級となっています。
同じ眼の障害でも障害年金と障害者手帳では等級判断が全く異なりますね。すなわち、障害者手帳が5級であっても、条件を満たせば(初診日が厚生年金、治らない傷病等)障害年金を受給できる可能性が生まれます。
障害者手帳の等級が低い方でも、十分障害年金に該当する場合がありますので、役所等の案内(中には障害年金に不慣れな人もいます)で障害年金は無理だと言われても、一度専門家に相談することをおすすめします。
それでは4週にわたって眼の障害認定基準についてお話しました。内容は少し複雑でしたが、障害年金を請求される際に参考にして頂ければと思います。
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