障害年金の初診日証明をめぐる誤解と実務上の問題点ー障害年金相談で起きたある事例①
2026年1月30日
みなさん、こんにちは。
今日は当事務所にご相談に来られた方の事例をご紹介します。
※プライバシー保護のため、以下では仮名を用い、「橋口さん」とします。

橋口さんは、当事務所へ相談に来られる前に、障害年金の請求について年金事務所の窓口で相談をされていました。
橋口さんの受診歴を整理すると、医療機関は2か所です。
まず、初診の医療機関であるA病院を平成20年8月に受診しています。
その約2か月後の平成20年10月に、2つ目の医療機関であるB病院を受診しています。
橋口さんが年金事務所で相談したところ、「A病院で受診状況等証明書(いわゆる初診証明)を取得してください」と案内されました。
そこで橋口さんがA病院に確認したところ、「カルテは保存期間を経過しており残っていないため詳細な証明書を記載することはできない。ただし、パソコン上に会計記録として初診日・最終受診日・傷病名が、そして網膜にレーザー治療を行ったという治療歴については情報が残っている」との回答でした。
この内容を年金事務所に伝えたところ、窓口職員からは「A病院で初診証明が取れないのであれば、第三者証明を提出してください」と説明されたそうです。
しかし、この対応は障害年金請求の実務として明らかな誤りです。
まず第一に、受診状況等証明書は診療録に基づいてのみ記載される書類ではありません。
実際、受診状況等証明書の下部には上記の記載は何に基づいて記載されたのかの質問項目がありますが、その中には「受診受付簿、入院記録」の欄が設けられているほか、「その他」として例えば上記の会計記録やレセプト等を記載できるようになっており、この書類の意味を理解していません。
次に、もし仮にこの情報だけでは不十分な場合には、次院での受診状況等証明書の取得を勧奨しなければいけません。
なぜなら、この方は次院へ平成20年10月に受診したと申告しており、これは平成27年に発出された通知によると、少なくとも5年以上前に作成された診療録に記載された前医情報や本人申告の初診日は証明書として取り扱うという内容に合致する可能性があるからです。
第三者証明は、少なくとも5年以上前に作成された診療録を保有するすべての医療機関、身体障害者手帳や難病申請時の診断書、入院記録など、考え得る証明資料を尽くしてもなお初診日が確認できない場合に、最後の手段として初診証明の代替として用いられるものです。
初めから第三者証明を求めるなど、もっての外です。
さらに驚くべきことに、後日A病院が配慮して、年金事務所に対し「カルテは残っていないが、会計記録、受診日、当時の診断名、レーザー治療を実施した事実については確認できる」と連絡をしてくれていました。
その際の年金事務所の対応が更に驚くべきものでした。
次回へ続きます。
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