第三者証明は最後の手段?
2019年6月21日
みなさん、こんにちは。
今日は6月14日にアップしたブログの続きについてお話します。
前回、請求の5年以上前に医療機関が作成した資料に初診日が記載されている場合でなければ証明書の有効度は低いと申し上げました。
女性(50代・網膜色素変性症)が現在通院しているG病院に10代の頃の受診をうかがわせる文言が見つかりましたが、残念ながらこのカルテは請求時より5年以上前のものではありませんでした(2年前)
これで医証での初診日を証明することは難しくなりました。
残るは第三者証明です。
第三者証明とは、初診日がどうしても証明できない場合に、当時の受診状況や症状の経過、また日常生活における支障度合い等を、その当時その状況を直接知りえた友人や学校の先生、会社の同僚や医療従事者等に証言してもらう方法です。
第三者が証言する具体的な当時の状況や日付から、請求者申立による初診日が合理的に正しい、そして整合性があると判断された場合にのみこの第三者証明を初診証明に替えることができるといった制度です。
この第三者証明は初診日が20歳前であっても20歳以降であっても利用することができます。この女性の場合は20歳前に初診日があり、かつ当時厚生年金に加入していたため以下の取扱いが適用されます。
「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」より一部抜粋
※20歳前に厚生年金等に加入していたものについての取扱いは上記取扱いに準ずる
この女性のように20歳前に厚生年金に加入しているような場合は、障害基礎年金の20歳前第三者証明とは異なり、第三者証明だけでは申し立てた日を初診日とは認められず、それ以外の客観的資料が別に必要となります。
これは上記文言にある通り、障害基礎年金の場合は給付内容が単一なのに比べて(令和元年6月時点で1級は780,100円×1.25+子の加算、2級は780,100円+子の加算)厚生年金で請求する場合、初診日によっては大きく給付内容が異なってくるためです。
しかし女性は第三者証明以外の客観的資料はなく、また病気の特性から初診当時周囲の人に眼の障害について一切話していなかったため第三者証明を取ることもできない状況でした。
そのため女性は今回の請求を断念せざるを得ず、非常に厳しい結果となりました。
この女性のように様々な事情が複雑に絡み合って、十分障害等級に該当する状態にあっても請求に至らないケースがまれにあります。
立証責任はもちろん請求者自身にあるわけですが、制度の複雑さやその理不尽さ(カルテの保存期間は5年と定められているにもかかわらず、それ以上前の受診記録の証明も必須とされていること等)により請求できる権利を奪うことは、公的年金の制度趣旨からいって納得できるものではありません。
改善が強く望まれるものの、障害年金が保険制度であることを考えると一概に現状の制度運営を批判することも難しいのが実情で、今後多くの議論が必要であると痛切に感じます。
それでは今日はこの辺で。
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