障害年金の不支給増加に関する調査結果報告書が厚労省により公開
2025年6月27日
2024年度以降、障害年金の不支給が急増した件について、厚労省は調査報告書を公開しました。
「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」(厚労省)
調査方法は令和6年度決定分から、新規裁定1,000件、再認定10,000件を無作為抽出し、集計するといったもの。
集計結果は新規裁定1,000件のうち、非該当は130件(13.0%)。令和5年度の非該当割合(8.4%)より上昇し4.6ポイントの上昇が確認されました。
また精神障害の非該当割合の上昇が大きいことも分かりました(6.4%から12.1%で約2倍)。
明らかに精神障害に関する給付を抑えようとしていることが分かります。
これは精神障害での請求件数が最も多いことが起因していると考えられます。
また、精神障害は等級が判定される際に「等級判定表(P5)」を用いて障害等級の目安をあらかじめ決めますが、「目安より下位等級に認定され不支給となっているケース」又は「目安が2つの等級にまたがるものについて、下位等級に認定され不支給となっているケース」の割合は75.3%となっていたことが分かりました。
つまりは、「2級又は3級」とされた場合は「3級」に、「3級又は3級非該当」とされた場合には「3級非該当」に放り込まれる割合が75.3%だということです。
判定が二つにまたがる場合はほぼ下位等級になってしまうということですね。
概要(2)の中で、職員による事前確認票について触れていますが、実は認定医に書類が渡る前に認定調書の中に職員が診断書をチェックし、あらかじめ等級を記す欄が存在します。
これについての調査結果も報告されており、以下のように報告されています。
つまりは、職員が事前に認定調書に等級を書いておけばほぼその通りの等級として認定されているということです。
一体誰が認定医なのでしょうか?
当事務所でも審査請求をする際、認定調書を取り寄せることがありますが、やはり職員による独自の判定が行われており、認定医に対する誘導といった印象も受けてしまいます。
認定医からは「最終的な等級の判断は職員に誘導されることなく医師である私が行っている」や「事前確認票は助かっているが、等級案をみて決めているわけではない。」といった回答をしていますが、実際の数字が物語っていることは確かです。
また、全国の障害年金申請を一括で診査している東京にある「障害年金センター」に勤める女性から「2023年10月に異動で就任したセンター長が『厳しく審査するように』という方針なんです。それが、不支給が増えた大きな要因になっています」と取材に答えています。
女性は2024年度の障害年金の不支給件数を週ごとに集計した非公表の資料を記者に見せました。
そこには令和5年度の不支給件数は約1万3千件に対し、令和6年度の不支給件数は約2万9千件。倍以上に増えています。
また認定医に関する文書の中で、ある精神科医について「基本的にこちらの意向に沿って柔軟に認定(判定)していただけますので、方向性や(障害の)程度、不支給理由に関してもこちらであらかじめ決めておくのが望ましい」と書かれていました。
本来は認定医が等級を判断しなければならないところを、認定医に書類が渡る前にほぼ職員が決め打ちにかかっていることが分かります。
また別の精神科医に関しては、「事務方の意向通りにならないことはそれなりにあります」と記されていました。
まるで事務方が「どの認定医であれば事務方の意向通りに判断するか」といったことを吟味するような内容です。
そして女性はこのようにも答えています。「職員側の裁量で判定医を使い分け、支給・不支給をコントロールできてしまうんです」と。
引用元:YAHOO!JAPANニュース!
ついには告発者まで出てきた今回の事態。
厚労省は今後の対応策として、「職員による等級案廃止」や「今後の全ての不支給事案について複数の認定医による審査」等を挙げていますが、果たして適正な審査は行われるのか。
機構の動きに注視していく必要があります。