どう書くのが正しい?「病歴・就労状況等申立書」
2024年11月14日
みなさん、こんにちは。
今日は10月23日にアップしたブログの続きについてご紹介します。
さて、今回新規裁定において自身で請求なさった豊田義雄さん(仮名)ですが、共済組合から「初診日は20歳前にあるため障害基礎年金となり、請求先は日本年金機構となります」といった返戻通知を受けることとなってしまいました。
共済側でこういった誤った判断が行われたのは、病歴・就労状況等申立書に誤解を招く記述がいくつかあったことが原因であると考えられました。
それではまず豊田さんの請求までの経緯について見ていきたいと思います。
請求人/豊田義雄さん(仮名)
傷病名/錐体ジストロフィー
請求方法/事後重症請求
請求年金/厚生(共済)年金
豊田さんは出生時は視力良好でしたが、3歳児健診で初めて近視及び乱視を指摘され、A眼科を受診しています。
小学校入学後は裸眼での文字の判読が困難であったり、体育の時間に飛んでくるボールが見えにくい等の不便を感じていました。
そしてこの頃より視野欠損の自覚があったように感じられていたそうです。
高校生の頃には羞明等の症状が現れ始めB眼科を受診しましたが、ここでも単なる近視・乱視での受診にとどまっています。
その後豊田さんは一般企業に就職。若干の見えづらさを感じながらも、生活や就労に支障をきたすほどではなく、普通に日々の業務をこなしていました。
そして豊田さんが30代を迎えた頃です。会社の健康診断にて眼底異常の診断を受けることとなりました。
この健診結果を持ちC眼科を受診したところ、今後緑内障のリスクがあることを告げられました。
その後経過観察のため1年に1度程度の受診をしていましたが、特段の治療をするわけでもなく、医師からも何ら指示がないため、次第に病院から足が遠のきます。
そしてその数年後に決定的なことが起こります。運転免許更新の際に視力不良で引っかかってしまったのです。
家族の勧めもあり近医のD眼科受診に至ります。
ここで初めて錐体ジストロフィーを疑われ、精査のためE眼科を紹介受診し確定診断となりました。
豊田さんが病歴・就労状況等申立書に記載したD眼科を受診するまでの経緯。
この内容に共済側が強く反応し、そもそも10代の頃から請求傷病である「錐体ジストロフィー」が発症しており、そのための受診ではなかったのかと疑いを抱いたわけです。
ご本人が記載された申立書には当初から「近視・乱視での受診」「網膜関連の異常を指摘されたことはなかった」「いま思い返せば関連するような症状はあったが病識がなかった」と述べていますが、詳細に記載していることが逆にあだとなり疑惑の目を向けられたというのが本当のところでしょう。
そのため初診日が20歳前にあるのではないかとの疑義が生じ返戻の措置が取られました。
当然病歴・就労状況等申立書については時に詳細に記述することが求められることもあり、決して豊田さんに落ち度があるわけではありませんが、共済側の疑念も分からなくはありません。
ただ提出された診断書等にはそのような過去の受診歴や病歴に関する記述は一切ありませんでしたので、たらればですが、ご自身が良かれと思って記載した内容が足を引っ張ってしまった結果となり、単純に免許証の更新が叶わなかったことを機に受診したところから始めていれば何の問題もなかっただろうことが予想されました。
それでは次回へ続きます。
※個人情報保護の観点から請求人の名前は匿名です。
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