障害年金、保険料を納付していないとどうなる?②-1
2023年10月20日
みなさん、こんにちは。
8月31日に保険料の納付要件についての記事をアップし、9月29日に保険料納付要件を満たすことができず、請求できなかった事例についてお話しました。
今日は現在まだ争いの段階にある事例なのですが、日本年金機構が決定した初診日では保険料納付要件を満たせなかったため、社会的治癒を援用し、再発した日を初診日として審査請求したケース(40代・男性)についてお話します。
まずは請求人の発病から請求までの経緯についてです。
請求人:40代・男性
傷病名:胚細胞腫瘍 両視神経委縮
機構が主張する初診日:平成18年1月10日
請求人が主張する初診日:令和2年5月15日
男性は平成17年12月、突然尿の量と回数が著しく増え疲労感も顕著だったため平成18年1月10日、A病院を受診しました。
精査の結果、脳に2つの腫瘍が見つかり、それが起因となって尿崩症を発症していると診断を受けました。
治療のため平成18年1月25日よりB病院へ転院し直ちに入院の上、脳腫瘍の治療(抗がん剤の投与)が開始されました。
退院後は放射線化学療法を受け、以後経過観察となりました。
平成18年5月には脳腫瘍は寛解。以後、脳神経外科での経過観察と尿崩症の治療薬の処方のみとなりました。
平成18年7月頃から就労を再開し、令和1年末頃まで精力的に活動。
しかし令和2年4月頃、急激な視力低下を自覚したため令和2年5月15日、C眼科を受診します。
精査の結果、眼球自体に異常はなく両眼に視神経委縮が確認されるとの診断でした。
過去にB病院の脳神経外科で脳腫瘍治療歴があることを伝えるとすぐにB病院へ紹介。
B病院で検査入院の結果、胚細胞腫瘍による両視神経圧迫を起因とした視神経委縮が視力低下の原因と診断されました。
手術不可と判断され、定期通院により薬物治療が行われましたが、徐々に視力が低下し令和2年12月頃には光すら感じなくなりました。
さて、この男性は令和2年5月15日を初診日として自身で請求しましたが、機構は平成18年1月10日を初診日と判断し却下。
実はこちらの男性は平成18年1月10日の初診日では「3分の2要件」「直近1年要件」ともに満たしません。
そのため、平成18年7月頃から令和1年末頃まで就労していたことに加え、この間の通院は経過観察的なものであったことから社会的治癒を援用し、納付要件のある令和2年5月15日を初診日とし審査請求を行うことにしました。
それでは次回へ続きます。
※個人情報保護の観点から初診日等の日付は実際と異なります。
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