傷病補償年金とは(労災⑤)
2020年5月8日
みなさん、こんにちは。
以前労災の保険給付の一つである「休業補償給付」についてお話ししましたが、今日もその労災保険の一つ「傷病補償年金」についてお話したいと思います。
この傷病補償年金(通勤災害の場合傷病年金と呼ぶ)と以前紹介した休業補償給付はどちらも傷病が治癒する前の補償です。
また、どちらも生活費を補償する目的のものですが、傷病補償年金は1年単位で支給され、休業補償給付は1日単位で支給されるイメージのものです。
傷病補償年金の支給要件は以下の通りです。
傷病年金は業務上もしくは通勤により負傷、または疾病にかかった労働者が療養の開始後1年6ヶ月を経過した日において以下2つの要件に該当するとき、また同日後においてその状態が継続する限り支給される。
・負傷もしくは疾病が治っていないこと
・障害の程度が傷病等級1級、2級、3級に該当していること
年金額については以下の通りです。
1級・・・1年につき給付基礎日額(平均賃金のこと)の313日分
2級・・・1年につき給付基礎日額の277日分
3級・・・1年につき給付基礎日額の245日分
傷病補償年金は3級までしか補償されませんが、もし障害状態が改善し、3級より軽くなった場合は傷病補償年金の受給権は消滅しますが、要件を満たせば以前お話しした療養補償給付や休業補償給付の支給が再開されます。
ただし傷病補償年金と休業補償給付が併給されることはありません。
また労災の各保険給付は原則として労働者や遺族の請求が必要ですが、傷病補償年金については請求は必要なく政府の職権に基づき行われるものとなっています。
また解雇制限との関係についてですが、療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受給している労働者については打ち切り補償を行ったものとみなされてしまい、解雇が可能となってしまいます。(通勤災害については解雇制限の対象とならない)
それでは今日はこの辺で。
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