脳脊髄液減少症、初診日認定改善へ
2020年1月24日
今月13日、脳脊髄液減少症患者に対する障害年金が初診日について誤った認定をしたことで不利益を被っているとの指摘が専門家からあり、日本年金機構は改善を行ったことが分かりました。
脳脊髄液減少症は主に交通事故等の身体への激しい衝撃が原因で髄液が漏れ出し、日常的に頭痛やめまいを引き起こす病気です。
この脳脊髄液減少症は以前までは交通事故の日に受診した病院を初診とし認定するケースがほとんどでしたが、最近はこの初診日から数ヶ月や数年経過した後に確定診断を受けた日を初診と取り扱う事例が目立っていました。
このような認定が行われるとどういった不利益が生じるのでしょうか。
障害年金は人工透析やペースメーカー等一部の障害を除いては初診日から1年半経過後の障害認定日を迎えなければ請求することはできません。
そのため、初診日認定の日が後になるとその分請求できるタイミングが遅くなり、障害年金を受け取る時期も後ろにずれ込むため結果的に受給できる金額が大幅に少なくなってしまいます。
このような不当な初診日認定はこの脳脊髄液減少症だけではなく、他の難病においても行われています。
以前、当事務所で請求した線維筋痛症でも同じような認定を受けました。
この線維筋痛症の方は最初首や腕の痛みから整形外科を受診し、頚椎症と診断されました。その後病院を転々とし、繊維筋痛症と確定診断を受けるのに実に10年の月日を要しました。
当然頚椎症と診断した整形外科を初診日として請求を行いましたが、日本年金機構は初診日は最初に受診した整形外科ではなく、そのおよそ10年後に確定診断を受けた病院であるとしこちらの主張を退けました。
初診日とは、「障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診察を受けた日」のことを言い、決して確定診断を受けた日ではありません。
初診日に診断された傷病名と現在の傷病名が相違している場合は相当因果関係があるかどうかを考慮することになっていますが、そもそもこの考え方に縛られるからおかしなことになるわけです。
上記線維筋痛症の方も、のちに審査官は「頚椎症」と「線維筋痛症」には相当因果関係があるか否かを頚椎症と診断した医師に問い合わせていますが、その設問自体に問題があるわけで、正しくは「頚椎症」の症状は「線維筋痛症」の初期症状だったと考えられるかと聞かなければ、いわゆる難病の初診日認定にはそぐわない回答しか得られないことになります。
障害年金を唯一審査できる機関でありながら、初診日について誤った解釈により患者に一方的な不利益を与えることは許されることではありません。
脳脊髄液減少症だけでなく、他の難病に関する初診日認定の見直しも早急に行うべきです。
引用元:東京新聞
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