診断書は完璧なのに不支給。何が原因?
2017年8月4日
みなさん、こんにちは。
今日は前回の続きでうつ病(30代・女性)で請求し不支給になったケースについてお話します。
前回述べたように、この女性は障害年金を請求した時点で入院中であったこと、また平成28年9月より施行された「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の中にある障害等級の目安に照らし合わせると2級相当であること、また初診日も確定していたこと等を鑑みると不支給となる理由が特に見当たらないように思えますね。
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新規裁定で不支給となった際、請求者のもとに不支給決定通知書というものが届きます。しかし通知書には不支給となった理由が明記されていないため、提出を行った年金事務所で認定調書を開示請求し不支給理由を確認する必要があります。この女性の場合、認定調書に書かれていたのは「単身生活」という一言でした。
シェアハウスでの生活が「一人暮らし」とみなされ、認められなかったのです。
つまり、請求時点では入院中であるものの、その前後は単身生活を送れるだけの状態にあったと判断されたことになります。
しかし女性は家族との関係が良好ではなかったこと、それを考慮し医師の勧めもありルームシェアという周囲の援助を受けることができる環境での生活を選んだこと等を考えると、「単身生活」との理由だけで不支給となったことには大きな疑問が残りました。
また、日本年金機構は決定を下すまでに2回の医師照会を行っていました。医師照会というのは医師に対して請求者の症状等について回答を求めるためのものです。
その中身は、彼女の症状が「神経症」なのか、それとも「精神病」であるのか。また、シェアハウスでの生活状況の詳細に加えて、現在も入院中かどうかの確認も合わせて行われていました。
彼女は請求した時点では入院していましたが、医師照会が行われたときにはすでに退院していました。そのことが不支給決定に係るものであったか定かではありませんが、結果不支給であったことに変わりはありません。
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確かに精神に関わる審査は請求した時点のみならず、それ以前1年間程度の障害状態及び生活状況を考慮にいれることがあります。
今回の争点はただ一つ、果たしてシェアハウスでの生活が「単身生活」と同等であり、その生活状況をもって、自立した生活が送れていることになるのかということです。
それでは次週も引き続きその後の請求についてお話したいと思います。
今日はこの辺で。