審査請求で原処分変更となった事例③(単心室・単心房・共通房室弁・無脾症候群/20代男性)
2020年4月24日
みなさん、こんにちは。
今日は4月17日にアップしたブログの続きについてお話したいと思います。
さて、この男性は審査請求において確実に認定されるといった確証がなかったため予備的請求として、新たな検査成績を用いて再請求(事後重症)を行うことにしました。
男性の主治医には2級に該当する例示を確認してもらい、男性が再請求の直前に入院していた際の検査成績で診断書を書くとの了承を得ることができました。
それでは認定基準(心疾患による障害)と照らし合わせて新たに作成された診断書が2級該当するかどうかについて考察していきたいと思います。
この男性は「先天性心疾患」に該当するため、まず上記認定基準P69をご覧ください。
2級の障害状態は以下のように書かれています。
1 異常検査所見が2つ以上及び病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの
2 Eisenmenger化(手術不可能な逆流状況が発生)を起しているもので、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの
診断書を見ると異常所見はA~Iのうち2つの区分(B及びC)が該当しており、臨床所見は7つの項目に該当していることがわかりました。
そしてEisenmenger化は「無」、一般状態区分表は「ウ」とされていました。
この先天性疾患の項目についてはほぼ2級の要件を満たしていますが、上記認定基準P64の「1 認定基準」を見ると、2級及び3級は以下のように書かれています。
2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
男性は現在障害者枠で就労していますが、動悸やめまいが多く出現するため会社から大きな配慮を受けています。
このような状況を鑑みると上記については3級該当とも取れてしまいます。
保険者は就労状況については指摘しませんでしたが、総合的に見ると2級か3級か、判断が大きく揺らぐところです。
それでは次回へ続きます。
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