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20歳前の受診で障害厚生年金を受給したケース-後編-(網膜色素変性症)

2019年10月25日 

みなさん、こんにちは。

 

今日は10月18日にアップしたブログの続きについてお話します。

 

イメージ画像

 

この男性(網膜色素変性症・50代)は小学校2年生の頃にA眼科を受診しており、両親にのみ「網膜色素変性症という難病の可能性がある」と告げられていました。

 

 

当然A眼科を初診とし、20歳前傷病による障害基礎年金の請求が考えられるのですが、A眼科を受診したのは40年以上前であったためカルテは残っていません。

そもそもこの40年以上前に受診した病院を初診と捉えることには違和感があります。

なぜなら、その受診自体を本人が覚えておらず、それを両親から知らされたのはそれから30年近く経ってからなのです。

 

その間の受診歴は一切ありませんし、自覚症状さえなかったのですから。

 

そのため、次に受診したB眼科の受診状況等証明書の内容を吟味して請求方法を検討することにしました。

 

 

B眼科の受診状況等証明書を確認すると、そこには「小学生の頃A眼科で網膜色素変性症と診断された(本人申立による)」との記載がありました。

この男性はB眼科初診の際、これまでの経緯を説明していたために上記文言が記載されてしまったわけです。

こう書かれた以上、40年前のA眼科受診を取り上げないわけにはいかなくなりました。

 

あくまでこちらの主張はここ最近症状を自覚して受診したB眼科を初診とした障害厚生年金の請求ですが、日本年金機構はA眼科を初診とした20歳前の障害基礎年金と判断する可能性もあります。

 

 

これまでの判例を見てもすんなりこちらの主張が通るとは思えませんでしたが、これまでの経緯をありのまま申立書に記載して請求しました。

 

そうすると、長い争いを覚悟していたにも関わらず非常にスムーズに審査が行われ、いかんせん拍子抜けするほどあっさりとこちらの主張通り障害厚生年金が支給されることになりました

 

当然、受診歴や病歴等は百人百様なわけで、判断はケースバイケースですが、類似する事例で行政機関から20歳前の障害基礎年金を案内されても、本当にそれが正しいのか病歴や経緯をもう一度見直し、初診日の定義と解釈を吟味する重要性がこの例からもよくわかります。

 

 

次回はこの初診日の解釈と社会的治癒を扱った裁判例をご紹介したいと思います。

 

 

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