20歳前の受診で障害厚生年金を受給したケース-前編-(網膜色素変性症)
2019年10月18日
みなさん、こんにちは。
今日は20歳前の受診にもかかわらず障害厚生年金を受給できたケースについてお話します。
請求人:50代・男性
傷病名:網膜色素変性症
請求年金:障害厚生年金
男性は出生時より視力良好で3才児健診でも特に眼について指摘を受けることはありませんでした。
小学校入学後も見え方について異常を感じることはありませんでしたが、小学校2年時の頃水泳の授業で目にものもらいができた際に両親に連れられA眼科を受診したところ、医師より「眼に若干の傷様がある」と告げられました。また現時点では確定できないものの、「網膜色素変性症という難病で将来失明の可能性がある」との告知を受けました。
当時男性がまだ小学校2年生だったということや症状が全く出現していなかったこと、また治療法がなく通院の必要もなかったことから、本人には知らせず両親にのみ告知が行われました。
その後男性は高校を卒業し大学に進学。大学卒業後は一般企業に就職しました。男性は結婚し、子どもを授かります。この間も見え方について異常を感じることはなく、特に不便も感じることなく日常生活を送りました。
そして男性が40歳を迎えた頃、母が他界。
後を追うように父も他界してしまいますが、その父が亡くなる直前、幼少期の出来事を男性に語って聞かせました。当時男性はまだメガネもかけておらず、むしろ視力は良好であったため父から聞かされたこの話を信じることができませんでした。
その後も見え方について異常を感じることはなかったため、父の思い違いや妄想ではなかったのかと思い、眼科を受診することなく日常生活を送ります。
しかしそれから10年近くが経過し、男性が50歳を迎えた頃、視界にもやがかかるようなことが時折起こりました。
最初は疲れ目かと考え様子を見ていましたが、仕事中書類に目を通していた際、文字が欠けていることに気付きます。
そのとき男性は父が亡くなる直前に語った話を思い出し、慌てて近医のB眼科を受診。
そこで父から聞いた話を医師に伝え、眼底検査を行うとやはり網膜色素変性症の所見が認められました。
すぐに大学病院へと紹介され、やはりここでも網膜色素変性症であることが告げられました。初診時、視野狭窄はかなり進行していましたが比較的矯正視力が保たれていたため自覚症状が乏しかったと考えられます。
その後男性は数年の間に視野狭窄及び視力低下が急激に進行し、障害年金の請求へ踏み切ることになりました。
さて、皆さんはこの事例を見て初診はどこだとお考えになりますか?
通常このようなストーリーを行政機関で話すと、おそらく20歳前傷病での請求を案内され、この40年近く前に受診したA眼科で受診状況等証明書を取得するように指示があるだろうことが予想されます。
しかしながら、今回は男性がA眼科を受診した際網膜色素変性症の可能性があることを知らされていなかったこと、またその後B眼科を受診するまでの間全く自覚症状はなく受診歴もなかったを踏まえ、明らかに症状が出現したB眼科を初診日とし請求することにしました。
では次回より請求事例についてお話したいと思います。
今日はこの辺で。
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