初診日の考え方により柔軟な解釈を
2019年3月22日
みなさん、こんにちは。
前回に引き続き、今日も線維筋痛症(40代・女性)の請求事例についてお話します。
さて、今回理不尽な決定により再審査請求までもつれこみましたが、意外な形で幕を閉じることになります。
再審査請求書を提出し審査会から決定が下るまでの間に、当初日本年金機構が初診医療機関であると訴えたE総合病院の初診日が障害認定日を迎えたため、そのE総合病院を初診として再審査請求と並行して再請求を行うこととしました。
そのためE総合病院で受診状況等証明書を取得すると、なんとE総合病院の実際の初診日は女性から聞き取った日付よりちょうど1年前の日付だったのです。
すなわちE総合病院を初診としても障害認定日未到来とはならず、A整形外科を初診として請求を行った新規裁定時にはすでに障害認定日が到来していたということになります。
そのため決して納得のいく形ではありませんが、女性への受給決定を遅らせてまで争う意味はなくなったため不本意ではありますが、その受診状況等証明書を審査会に追加資料として提出し、初診日はそちらで決めてもらって構わない(すべての期間が国民年金で事後重症のため最終的には初診日はどこでもよい)と伝えました。
結果無事2級決定となりましたが、やはり今回の決定には多くの疑問が残りました。
前回も申し上げたように審査請求を担当した審査官は現在の主治医に「頚椎症と線維筋痛症に相当因果関係があるかどうか」医師照会を行いましたが、そもそもこの発想自体がマニュアルに囚われすぎています。
頚椎症と線維筋痛症との間に相当因果関係があるかどうかを問うこと自体に意味がなく、正しくは「頚椎症は線維筋痛症の初期症状であった可能性があるか」としなければ問題の本質を逸脱することになりかねません。
初診日の定義をマニュアル通りにしか捉えておらず、病気の特性等を熟慮し柔軟で適切な理解がまるでなされていません。
また日本年金機構は初めて線維筋痛症を疑われたE総合病院を初診と訴えましたが、この考え方がまかり通るのであれば今後多くの難病患者は病気の特定に至るまでの数多くの受診をすべて無視していいということになりかねず、実際そうであるならそうで、年金事務所や市役所職員が請求人に等しく説明する義務があります。
そうでなければ、いたずらに請求人に費用負担はもちろん時間と労力を消費させるだけの結果になるでしょう。
E総合病院に至るまでに誤診を含め原因不明とされた経緯がありましたが、長年にわたるドクターショッピングを経て病気の特定が遅れた責任は請求人にあるのでしょうか。
今回は障害基礎年金の事後重症請求であったためE総合病院を初診としても女性に何ら不利益はなかったためこちらが折れる形となりましたが、これが過去にさかのぼって認定日請求を行う場合や厚生年金か国民年金かで受給額が大きく異なる案件であった場合は絶対に譲歩することはできず大変な争いをしなければならないところです。
審査する側は一つの決定が請求人の今後の人生を左右するといったことを理解しなければなりません。
安易な決定をするのではなく初診日の定義について理解を深め、柔軟な解釈を用いて審査を行う必要があります。
それでは今日はこの辺で。
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