審査請求でも棄却。初診日の定義とは?
2019年3月15日
みなさん、こんにちは。
前回線維筋痛症(40代・女性)で請求した事例から初診日についてお話しましたね。
新規裁定において平成20年1月に受診したA整形外科が初診日とは認められず、初めて線維筋痛症が疑われたE総合病院が初診であるためE総合病院で改めて受診状況等証明書を取得してくださいとの返戻を受けました。
そしてE総合病院の初診日が確定したとしても認定日未到来(裁定請求時は初診日から1年半未満)のため不支給となる、とのことでした。
この返戻に対してすぐに争う姿勢であることを伝え、審査請求を行いました。
仮にE総合病院が初診であるならば、B総合病院へ行くきっかけとなったレイノー症状や膠原病を疑われた経緯についてはどう説明を付ければいいのでしょうか。
初診日の定義には「傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても」といった記載があります。
このように初診日の定義を用い、A整形外科から請求に至るまでの約6年間に未受診期間はなく全ての通院歴に関連性があることを強く訴えました。
しかし結果は棄却。
審査官は頚椎症と線維筋痛症に相当因果関係があるかどうかを問題点とし、「受診状況等証明書に線維筋痛症との診断はなくA整形外科で診断された頚椎症を線維筋痛症によるものと認めることができない」としました。
また診断書を作成した医師に対して「線維筋痛症と頚椎症との間に相当因果関係があるかどうか」といった医師照会も行っていました。
医師の回答は「相当因果関係があるかどうか不明である」とのことでした。
まず受診状況等証明書に線維筋痛症の傷病名がないというのは初診日の定義を全く無視しており棄却するだけの根拠に値しません。
また審査官が行った医師照会にも疑問を抱きます。
線維筋痛症と頚椎症との間に相当因果関係があれば初診と捉えるという短絡的な考えから行った医師照会と言わざるを得ません。
もし医師照会を行うのであれば「頚椎症は線維筋痛症の初期症状であったか」と問うのが正しいのではないでしょうか。
今回の問題点は相当因果関係があるかどうかということではありません。
確定診断を受けるまでの頚椎症やレイノー症状に対する治療経過を全てすっ飛ばし、初めて線維筋痛症が疑われた日を初診にするといった安易な決定には疑問があります。
もし仮に今後このような扱いにするのなら、難病で傷病名が確定するまで複数の病院を転院している場合は、その傷病を初めて疑った日を初診とするというような通知・通達を出して共通認識にする必要があります。
A整形外科のようないわゆる町に古くからある整形外科では今回のような難病を診断することは決して簡単なことではありません。大学病院ですら当初は疑いさえ抱いていないほどです。
線維筋痛症のような難治性疾患の場合、より慎重で十分な検証がなされるべきではないでしょうか。
それでは次回に続きます。
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