視野障害は5度以内?10度以内?
2017年5月19日
みなさん、こんにちは。
前回視力障害の認定基準について触れましたが、今日は視野障害についてお話したいと思います。
視野障害には、外側から中心にかけて視野狭窄が進行する求心性のものや、ドーナツ型に視野が欠ける輪状暗転などがあります。この視野障害においても明確な認定基準が設けられています。
眼の障害等級認定基準を見ると、表中(5頁)2級の欄に以下のような文言があります。
身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
これはどういった状態を指すのかが、6頁(2)のウに示されています。文言は以下の通りです。
(ア)Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの
(イ)両眼の視野がそれぞれⅠ/4の視標で中心10度以内におさまるもので、かつ、Ⅰ/2の視標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56度以下のもの
以上いずれかに該当すれば2級となります。
上記文中にあるⅠ/2とⅠ/4の視標とは、ゴールドマン視野計で測る中の大きさと光の加減を表す指標のことを指します。視野を測るうえでこの2つの視標は最も重要なものとなります。
このⅠ/2とⅠ/4は光の強さが異なり、Ⅰ/2の方が光が弱く、視覚障害の方にとってはこちらの方が見えづらくなっています。
以下診断書をご覧ください。
左側に4つの円がありますね。これらは眼球を表しており、上2つの円が左右それぞれにおいてⅠ/4の視標(強い光の状態)で計測したもの、下2つの円は左右それぞれにおいてⅠ/2の視標(弱い光の状態)で計測したものになります。
Ⅰ/4の視標(上2つの円)を見ると、外側は黒車線で塗りつぶしてあり、中心部分が〇で囲まれていますね。この〇で囲んである部分が、強い光の状態(Ⅰ/4の視標)が感じられる部分で、黒車線の部分は光が感じられない(計測できない)部分になります。
また、上記(イ)の文中に、「Ⅰ/2の視標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56度以下のもの」とありますね。
Ⅰ/2の視標とは下2つの円を指しますが、Ⅰ/4の視標と同様、円の中にそれぞれ大きさが異なる円が記されているのが分かります。こちらの画像では見えづらいですが、一番中心部分の円から外側にかけて、それぞれ5度、10度、(15度)、20度と数字がふってあります。この方の場合、左眼は下と下内が少し5度より外側に出ており、他の部分は5度以内におさまっているのが分かります。
画像内右下に「中心視野の角度」という表がありますが、これらの数字は丸がどの位置にあるかを示したものになっています。例えば、表中縦軸の右、横軸の上を交差する部分は「6度」となっていますが、右側Ⅰ/2の視標を見るとちょうど6度の部分を指していることが分かります。
この中心視野の角度の合計が上記(イ)の文中にある56度以内であれば2級に該当します。
この方の場合、(ア)はⅠ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまっていません。
しかし、両眼の視野がそれぞれⅠ/4の視標で中心10度以内におさまっており、かつⅠ/2の視標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56度以下(右44度、左37度)であるため上記(イ)は満たしており、2級該当となります。
今回は2級該当の視野障害について解説しましたが、次回は障害手当金(治らないものにあっては3級)に該当するもの等についてお話したいと思います。
それでは今日はこの辺で。
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