障害年金と傷病手当金は両方もらえる?
2016年8月19日
みなさん、こんにちは。
先日、東京の地下鉄で悲しい事件が起こりました。盲導犬を連れた視覚障害の男性が線路から落ち、亡くなったという事故です。ホームには係員や乗客の方がいたにもかかわらず、防ぐことができませんでした。
白杖を突いたり、盲導犬を連れた視覚障害の方は周囲の人から「危ない」等の声をかけられただけでは自分のことかどうか分からないことがあります。
もし近くでこのような方を見かけたときは手を引いてあげてください。周りの人たちの助けが必要です。
それでは今日は前回の傷病手当金を障害年金のお話と絡めて紹介します。
障害年金は障害基礎年金、障害厚生年金(共済年金は平成27年10月に厚生年金に一元化)の2種類ですがそれぞれ傷病手当金との支給調整は異なります。
障害厚生年金(各共済組合から支給される障害年金は除く、以下同じ)が支給される場合、原則として傷病手当金は全額支給停止されます。(障害年金が優先的に支給される)
ただし、障害厚生年金(障害基礎年金の加算を含む)が傷病手当金を下回る場合はその差額分が支給されます。(障害年金の年額を360で除した額が1日当たりの傷病手当金の額に満たないときはその差額を支給)
また障害手当金においては、傷病手当金の合計金額が障害手当金の支給額に達する日までは傷病手当金の支給は全額停止されます。
例えば、平成27年6月から月20万の傷病手当金を受給する人が同年10月に160万の障害手当金を受給した場合、平成28年4月までは傷病手当金の支給はありません。
なぜなら、平成27年6月から平成28年3月までの傷病手当金の総支給額が160万だからです。したがって、その金額を超える平成28年4月からは傷病手当金が再開されます。また、平成27年10月より障害手当金を受け取った場合は平成27年6月から受け取った傷病手当金は返金しなければなりません。
また、仮に平成27年1月から月20万の傷病手当金を受給する人が同年10月に160万の障害手当金を受給した場合は、平成27年1月から同年9月までの傷病手当金の合計額は180万ですから、20万を残して160万を返金するといった形になります。つまり、受け取った障害手当金は全額返金しなければいけないことになります。
障害基礎年金と各共済組合から支給される障害年金は調整の対象ではないため、傷病手当金と併せて全額併給されます。たとえ同一傷病であっても併給調整の対象ではありません。これは平成27年10月実施の一元化後も同じ扱いです。
障害基礎年金の例でいうと、うつ病によりすでに障害基礎年金を受給していた人が平成26年4月に入社し、仮に平成27年6月にうつ病が悪化したため傷病手当金を受給し始めても両方全額支給されます。
また、別傷病の場合は障害厚生年金であっても調整の対象ではないため傷病手当金も全額支給されます。
例えば、うつ病による障害厚生年金受給者が勤務中に脳梗塞で倒れました。この場合、傷病は障害厚生年金が「うつ病」による受給、傷病手当金の方は「脳梗塞」による受給ということで傷病が異なるため、どちらとも全額支給されます。
それでは今日はこの辺で。
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