3号特例。障害年金申請の際は要注意
2019年5月31日
みなさん、こんにちは。
今日は5月24日にアップしたブログの続きについてお話します。
この女性(網膜色素変性症・50代)は平成18年に3号特例の申請をしていたわけですが、障害年金においてこの3号特例の申請をしている方は注意が必要です。
3号特例とは第3号被保険者に対する制度をいいますが、この3号被保険者とは、厚生年金に加入している者に扶養されている配偶者(夫、妻の別を問わない)のことです。
最もスタンダードな例えでいうと、夫がサラリーマンで妻が専業主婦、この場合の妻が第3号被保険者になります。
現在この第3号被保険者への加入は、上記の例だと夫が勤務する会社が年金事務所へ加入の手続きをしてくれていますから、自身での手続きはまったく必要ありません。
しかしながら、自ら手続きをしなければならない時期があったのです。
当時はこのような制度の仕組みを知らない人も多くいたため第3号被保険者の届出をせず年金が未納になったままの人たちが数多くいました。夫の扶養になっていることは事実ですから、当然手続きがなされているものと思いこんでしまったわけですね。
そこで国はそれを是正するため(届出忘れを防ぐため)、平成14年4月以降は配偶者の勤務する会社が3号の手続きをすることとし、未納となっていた方については手続きを行えば過去最大2年間まで納付できるようにしました。
ただこれだと、長期間において3号に加入しているものと思いこんでいた人たちにとっては、ほとんどの期間が未納扱いとなり、将来の年金額が低額になる恐れがでてきてしまいます。
この問題に関しては、国も情報提供が不十分だったことを認め、さらなる救済策を設けることにしました。
それが3号特例制度です。
平成17年4月以降については手続きを行えば「全ての期間」ついてさかのぼって第3号被保険者であったと認められるようにしたのです。
老齢年金に関しては当然納付済期間となり受給金額に反映されるわけですが、障害年金に関しては要注意な事案が残りました。
障害年金の場合、初診日の「前日」までに年金を納付する必要がありますが、この3号特例も同様に初診日より前に3号特例の手続きを行っている必要があるのです。
つまり、3号特例を申請した日が年金を納付した日とみなされるということです。
今回の女性も退職後、第3号被保険者の届出をしておらず、長い間未納のままでした。そして3号特例の申請をしたのが平成18年。
そのためそれより前の期間については障害年金の納付要件を見る時には全て未納扱いということになるのです。
ただ、この女性は初診日が昭和59年4月に受診したA病院でしたね。そのときは厚生年金加入中(この期間に関しては3号特例の影響を受けない)であったためここを初診日(正しくは昭和61年3月以前は発病日)として請求することができるのです。
すなわち、是が非でもこの30年以上前の初診日(発病日)を証明する必要があり、証明できなければ障害年金受給への道は絶たれるといった状況に追い込まれることになります。
それでは今日はこの辺で。
※個人情報保護のため受診日等は実際の日付と異なります。
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