脳性麻痺と右聴神経腫瘍 ― 2つの傷病で「初めて2級」を請求した事例①
2026年10月2日
みなさん、こんにちは。
今回は、「初めて2級」によって障害年金を請求した事例についてお話ししたいと思います。

まずは、請求人である坂本さん(仮名)の幼少期から、今回の請求に至るまでの経緯についてご紹介します。
傷病名/脳性麻痺(前発)・右聴神経腫瘍(後発)
請求方法/初めて2級
請求年金/障害厚生(共済)年金
坂本さんは昭和50年、未熟児として出生し、A小児科で長期間にわたり保育器に入っていました。
その影響下で脳性麻痺を発症し、右半身に麻痺が残存。
昭和53年頃、麻痺が残っていた右足について外科的な治療ができないかと考え、B病院を受診しました。
しかし、治療の適用外であると判断され、その後の受診も不要であると告げられました。
右下肢および右手指には麻痺が残存し、運動機能にも制限があったため、一時は特別支援学校への入学も検討されましたが、最終的には普通校へ入学。
身体の不自由さは生来のものであったこともあり、その後は自身なりの工夫や慣れによって、通常どおり学校生活を送っていました。
昭和60年頃、両親が坂本さんの将来を案じ、今後何らかの福祉的援助などを受ける際に必要になるのではないかと考え、障害者手帳の取得を目的としてC大学病院を受診します。
その結果、障害者手帳3級の交付を受けることとなりました。
その後は病院を受診することなく経過し、平成7年に障害者枠で就職となりました。
以後も勤務を継続していましたが、平成22年頃、偶然D病院で受けた脳ドックにおいて、右聴神経腫瘍の疑いを指摘。
精査の結果、右聴神経腫瘍との確定診断を受け、その後は外来で経過観察が行われました。
しかし、平成23年頃には腫瘍が増大傾向にあることが判明し、次の医療機関へ紹介転院。
平成23年頃にE病院を受診し、直ちに放射線治療が開始されました。
その後も定期的に通院しながら、治療および経過観察を継続しました。
その後、聴神経腫瘍の影響による聴力低下に加え、それに伴う平衡感覚機能の減退が生じ、めまいや立ちくらみなどの症状に悩まされるようになりました。
特に、平衡感覚の低下によって立位が困難となったことから、緩徐ではあるものの筋力低下も進行していきます。
やがて元々脳性麻痺による麻痺が残存していた右上下肢に失調や筋力低下の兆候が見られるようになり、立位が保てず、自力での歩行も困難な状態となりました。
そのため、すでに脳性麻痺によって所持していた障害者手帳について等級変更が行われ、1級となりました。
さて、坂本さんの場合、幼少期に脳性麻痺を発症し、その後、平成22年頃に右聴神経腫瘍を発症しています。
この2つの傷病には全く因果関係がなく、それぞれ別の傷病です。
しかし、いずれの傷病も身体の同じ部位に障害が現れているため、診断書を作成する際に、脳性麻痺による障害と右聴神経腫瘍による障害とを明確に切り分けて記載することができません。
そこで今回、2つの傷病による障害の混在を避けるため、「初めて2級」という請求方法を採用することにしました。
それでは続きは次回お話ししたいと思います。
今日はこの辺で。


