(60代・男性)
2016年10月12日
Nさんは20代の頃から派遣会社で働き始め、派遣先の会社を何度も変えながら現在まで勤めてきました。50代のときに新たにA社に就職。入社後は周りの同僚と同じように仕事をこなしていましたが、6年目の時に突然、仕事中何度も同じことを聞いたりミスが続くようになりました。大事な書類の保管場所を忘れたり、大事な得意先との約束を忘れたりといったことが多くなりました。
その様子を見ていた上司が不審に思い、「一度病院で検査をした方がいい」と勧めたのです。Nさんはすぐに病院でMRI検査を受けました。すると、医師から健忘症と診断されたのです。
その後なんとか仕事を継続していましたが、注意力散漫が続きやはり仕事上のミスは減りません。Nさんはやむなく退職。退職後も最初の病院で経過観察を行っていましたが、より詳しい検査を受けるため転院。2つ目の病院で精査の結果、医師より若年性の認知症と診断されました。
Nさんは単身生活であったため、一人での生活に強い不安を感じましたが、実家に暮らす両親は高齢で兄が面倒を見ていたため、家族への気遣いから実家に戻ることもできません。このことを市役所に相談したところ、職員から福祉サービスを利用するように言われ、週に一度ヘルパーが自宅へ訪問するようになりました。しかし、ヘルパーが部屋の清掃等身のまわりの世話をしても1週間経てば部屋は散らかり放題、このような状態が何ヶ月も続きました。Nさんは徐々に経済的にも不安定になってきたため、収入を得るため自分にもできる軽作業の仕事を始めました。週5日、1日4時間の仕事です。
しかしながら、物忘れが激しく単身での生活は厳しい状況です。