(50代・女性)
2016年3月17日
Tさんに不眠や食欲不振といった症状が出始めたのは宗教への入信がきっかけでした。宗教の信者の人たちが自宅に頻繁に訪れるようになり、その頃より寝つきが悪く、寝入っても短時間で目が覚めるといった日が続きました。同居する家族のちょっとした生活音や話し声が気になりだし、被害妄想に陥ることもありました。仕事中も集中力が続かず、これまでできていた簡単な作業も突然手順が分からなくなり、その場に立ち尽くすといったことが度々起こりました。
見かねた両親がTさんを病院に連れて行くと、医師からは「非定型精神病である」と診断されました。その後薬物療法が開始されましたが、Tさんの症状は一進一退を繰り返します。食事や水分はかなり強い調子で言われなければ取ることはできず、炊事や洗濯、掃除といった家事全般は全て家族が行いました。また食事中などに急に立ち上がり家から飛び出そうとするため一時も目を離すことができません。自分の行動を制止されると興奮し暴れ出すこともありました。休みがちだった仕事も退職せざるを得ず、それからは自宅に引きこもるようになりました。
Tさんの症状は現在も続いています。食事は自発的に取ることはできず、病識が薄いため服薬を拒むこともあり家族の介助は常に必要です。自宅では拝んでいることが多く、家族が話しかけても上の空で意思疎通も困難です。