(20代・男性)
2016年3月17日
Nさんは幼稚園の頃から通園を嫌がり、小学校に入学するとさらに登校を拒むようになりました。低学年の間は両親が力ずくで連れていくこともありましたが、高学年になると抵抗が強くなりさらに欠席が目立ちました。担任の先生と相談しても原因は分からず、中学校入学後も不登校は続きました。
中学卒業後は専門学校に進学しましたが1年で中退。この頃から自宅に引きこもるようになります。外出はほとんどせず食事は別々、入浴は週1回のみ、家族との会話もほとんどありません。時折「死にたい」と口にすることもありました。
心配した両親がNさんを連れて精神科を訪れました。これまでの状況を説明しましたが、医師から病名は告げられず特に治療法はないとの診断で、精神科に通院することはありませんでした。
その後何とかできる仕事を探しましたが採用試験はどこも通らず、研修に参加してもその場その場の匂いが気になり長時間の外出は不可能です。Nさんはすぐに自室にこもるようになり、日に日に状態は悪化していきました。
天井をボーっと見つめぼそぼそと何かをつぶやきながら放心したような状態が続き、幻聴のような症状も表れました。食事もほとんど取らなくなり水分を口にすることもできません。目の焦点も合わず、「死にたい」と何度もつぶやきました。家族が無理に励ますと突然家から飛び出しビルの屋上へ駆けあがり飛び降りようとします。
このような生活が続き、別病院を受診。医師からは「広汎性発達障害及び双極性障害である」と診断されました。状態はひどく、その場で即入院となりました。入院後は食事を取る等少しづつ改善傾向を見せ、薬物療法や心理療法を行っています。