(60代・男性)
2016年12月16日
Sさんは仕事中に階段から転落し、地面に全身を強く打ち付け深刻な状態のまま病院へと救急搬送されました。すぐに緊急開頭手術が行われ、なんとか一命を取り留めることができました。術後は自ら食事を取ることができるようになりましたが、後遺症として失語症と下肢の運動麻痺が残ったのです。
Sさんはリハビリのため転院。当初歩行は困難で平行棒などの補助具なしで歩くことはできませんでしたが、2ヶ月に渡りリハビリを行ったところ、伝い歩きにまで回復することができました。しかし依然として言語障害は強く残存する状態となりました。
その後自宅療養開始。Sさんは言語野がひどく損傷しているため、単語や文章を理解することができず、発語もほぼ不可能な状態です。そのため、自分の妻や子どもであることは認識できても名前が出てきません。家族と会話をする際はボディランゲージとわずかな単語でお互いに意味を推察しながら意思の疎通を図ります。
また、数字を認識することができないため、簡単な計算やお金の数え方が分からず自分一人で買い物することもできません。以前までできていた車の運転操作や趣味で行っていた日用大工なども全て失念しています。
Sさんは現在も自宅で療養中ですが、医師からはこれ以上回復する見込みはないと言われています。